特定技能の有資格者、地方から都市部への転職が急増
特定技能制度のもとで働く外国人材において、地方から都市部(東京・大阪・愛知など)への転職や移動が急増しています。出入国在留管理庁のデータなどによると、2025年度の特定技能外国人の転職件数は1万8,200件(前年度比42%増)に達するなど、急激な増加傾向にあります。
技能実習制度とは異なり、特定技能制度では同一職種内での原則自由な転職が認められていることが背景にあり、地方の受入れ事業者や自治体にとって深刻な人材流出問題となっています。
急増している主な要因
- 賃金・最低賃金の地域格差
都市部(東京・神奈川・大阪など)と地方県との間には最低賃金や平均給与に大きな開きがあります。
転職理由の半数以上(約58%)を「賃金・待遇の改善」が占めており、より高条件を求める傾向が顕著です。 - 生活の利便性と「同郷コミュニティ」
都市部には同じ国籍・言語のコミュニティや母国の食材店、宗教施設などが充実しています。
移動手段の利便性や、暮らしやすさを求める若年層の意識も影響しています。 - ステップアップ・異業種間移動の機会
都市部は求人数が多く、自身のスキルや日本語能力をより高く評価してくれる企業の選択肢が豊富です。
待遇や労働条件が整っている企業へ引き抜かれるケースも増えています。
地方企業・地域が直面する課題
- 採用・育成コストの回収不能
地方の受入れ企業が渡航費用や日本語教育、生活支援に資金と時間を費やしたにもかかわらず、短期間で都市部へ転職されてしまうリスクが生じています。 - 地域インフラ・特定産業の担い手不足
農業、介護、製造業など、特に地方で人手不足が深刻な分野から人材が抜け出し、都市部の製造業や外食業などへ流出する構造が強まっています。
対策と今後の展望
- 企業側の対応策
単なる給与競争だけでなく、住居手当の支給、長期的なキャリアパス(特定技能2号への昇格支援など)の提示、職場内コミュニケーションの改善による定着率向上へのシフトが求められています。 - 制度的議論
地方創生の観点から、受入れ初期の一定期間における地域定着を促す支援体制やインセンティブ設計についての議論が、国・自治体レベルで進められています。